大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和24(オ)301 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人下田金助の上告理由は末尾に添えた書面記載のとおりであつて、これ

に対する当裁判所の判断は次のとおりである。

上告理由第一点について。

原判決は、その挙示する証拠によつて、上告人とDとの間に本件建物について賃

貸借が成立するに当り本件係爭の工場の部分は賃借の目的から除かれていた事実を

認定しているのである。建物の一部についても当事者の合意により賃貸借が成立し

得るものであることはいうまでもないから、原審のかゝる認定は論理法則、経験法

則を無規するものではなく、從つて所論のような違法はない。論旨は畢竟、事実審

たる原審の専権に属する事実の認定を非難するに帰し、理由がない。

同第二点について。

被上告人は、本件訴訟において、上告人が本件建物中の係争工場の部分を不法に

占拠するものとして、本件建物に対する所有権に基きこれが明渡を求めたものであ

ることは、記録上明らかである。そして、原判決は上告人が右工場の部分を占拠す

る権原として主張した賃借権の存在することを証拠上認めることができないものと

して上告人の抗弁を排斥したのであるが、本件建物中係争の工場を除いた部分を上

告人が賃借していた事実は、当事者間に争がないのであるから、所論のようにその

内容を明らかにする必要はない。また、原判決は、被上告人の主張しない事実に基

いてその請求を認容したものでないことは記録上明らかである。それゆえ、原判決

には所論のような違法はない。

よつて本件上告を理由ないものと認め、民訴第四〇一條に従い棄却すべきものと

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し、訴訟費用の負担につき、同法第九五條、第八九條を適用して、主文のとおり判

決する。

以上は、当小法廷裁判官全員の一致した意見である。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官穗積重遠は差支えにつき署名捺印することができない。

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

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